2020.08.18

目指せ!自由なオトナ女子 de ブラジル Vol.8 ラテンな気分!ブラジルのおしゃれ事情

目指せ!自由なオトナ女子 de ブラジル by セニョーラプリマベーラ(岩井真理)

Vol.8 ラテンな気分!ブラジルのおしゃれ事情

ブラジル人女性のファッションセンスと、失敗から学ぶファッションアイテムの選び方

 

誠に残念ながら、ブラジルへ来てからというもの、おしゃれとは無縁です。そもそも来る前に「治安が悪いから、小綺麗な格好すると襲われる」と言われ、ならば日本ではもう着ない服を持って行き、何なら本帰国する時に捨てればいいか、と思いつきました。多少の流行遅れでも、安全第一!と考え、荷造りしました。

元々、日本にいた時は「スーツとパジャマしか持ってない」と笑い話をするほど、仕事中心の生活でした。それだけに、自分なりのこだわりがあり、TPOに合わせて着まわしていました。会議やセレモニーの時は、スタンダードなダークなスーツに高めのヒールで、気持ちもビシッと。特にアポイントのない日は、少し遊び心のあるスーツやワンピースに軽めのジャケットとか。外回りが多い日には、ストレッチ素材の利いたスーツやストラップ付きのパンプスで、動きやすさを重視するとか。しかし、そんなスタイルともお別れ、少し古めの手持ち服に、洗濯しやすそうなカジュアルな物を数点加えて、いざブラジルへ。

私が着いた時、ここは冬でした。といっても日本のような寒さはなく、朝夕こそ15度くらい、日中は27、8度有ります。とにかくお天気が良いのだけが取り柄です。夏は、35度以上になることもしばしばですが、湿度が低いので日陰に入れば爽やかです。冬でも日本の夏服で過ごしても何ら問題ありません。たまに、肌寒いと思ったらカーディガンを羽織るとか、靴下を履くとか、そんな程度で事足ります。要するに、基本的に年中同じ格好でOK、つまり、四季折々でファッションを楽しむ、って感じではなさそうです。

では、ブラジル人女性(以下、brasileira ブラジレイラ)は、普段どんな格好をしているのでしょうか?

答はこちらの写真のように、基本スポーツウェア、またはTシャツにスパッツです。特に春夏になるとTシャツがタンクトップになり露出度が増します。そう、下着姿で歩いている感じです。そして、概ね体にフィットしたデザインのものを身につけています。

一説によると、女性の体は曲線が美しいのだから、それを強調するべきだとか。確かに、年齢や体型に関係なく、皆さんかなりのボディコンシャス。ブラジレイラは、母になっても年齢を重ねても、女である事を捨てず、髪は長く、水着はビキニ、常にセクシーさを大切にしているとのことです。日本で流行りのゆるふわファッションをしていると「どうして大きな服を着てるのか?」と訊かれた事もあります。

防犯上、日本人と見破られないためには、ぴちぴちファッションを身につける必要がありますが、お尻の形が違うので、すぐにバレそうです。ブラジレイラは、胸よりお尻。プリっとしたお尻をスパッツでさらに強調することで、フェミニンを演出しているようです。一年中紫外線も強いので、ついつい何かを羽織ったり、シミになるのを恐れ風通しの良い長袖を着てしまう私は、まだまだブラジレイラになりきれていません。シミは女の履歴書的な潔さ、お見事です。

ここからは私の失敗談を幾つか。

持ってきた服を着まわして過ごそう、と心に決めたものの、やっぱり新しい服を買いたくなります。ある日、ヨガウェアの店で、薄手のデニム地ワンピースを見つけました。ブラジルには珍しくナニュラル路線。日本では普通サイズを着ていますが、ここはどう考えてもP(pequeno) =Sサイズだろうと思い、買いました。が、なんと!それでも大きかった。日本から持って来た服と比べたら、2サイズは違いそうです。

懲りたので、金輪際、服は買うまい!と心に誓っても、また少し経つとなんとなく欲しくなってきます。そこで、ある店へ行く事を考えました。カジュアルからモードまでトレンドアイテムが手頃な値段で揃うスペイン発のお店です。生活全般を手がけているので、女性物以外に男性物や子供服も取り扱っています。おー!ジャストフィット!プリーツ加工された布地で作った、11歳用のパンツがピッタリです。靴も、子供コーナーで私サイズのぺったんこシューズが見つかりました。そう、ブラジルで服を買うなら子供服売り場へ行くべし!失敗から学んだ末に辿り着いた結論です。

もう1つの失敗は、トロピカル柄アイテムに関してです。ラテンテイストの花や鳥をモチーフにしたデザインで人気な、サンパウロの表参道と言われているオスカーフレイルにもショップを構える有名店です。小物やアクセサリーもあって、行くと時間も忘れてしまいます。そして、アウトレット店舗を、ボンヘチーロという韓国&アラブ人街がある地域に持っていて、様々なアイテムが、オスカーフレイルで買うより格安で手に入ります。

日本へ本帰国が決まった友達が、最後にここでお土産を買いたいと言うので、私も付き添って行きました。元々、彼女はここのファッションが大好きで、鮮やかな色のTシャツやサマードレスを難なく着こなしていました。「私は買っても着ないだろうなぁ」と思っていたのですが、何故かその日はお土産を買いまくる彼女の横で、変なスイッチが入り、ワンピースを買ってしまいました。あれから半年、自粛生活も続き、リゾートへも行けないので、勢いで買ったワンピースの出番はありません。

思えば、海外でその国独特の服を購入しても、日本に戻ってから着ることはありませんよね。ハワイのムームー、シンガポールのバティックドレス、香港のチャイナ服、コスプレみたいで結局は着ないものです。それが分かっているのに買ってしまうのは、何でしょうね。余計な買物物しましたが、友達との思い出作りは出来ました。

ブラジレイラはぴちぴちファッション、と言いましたが、サンパウロ 市内で一番オシャレなファッションビル、JKイグアテミというところへ行くと、また少し認識が変わります。日本で言うと六本木ヒルズやミッドタウンみたいなところで、ここを歩く人々は、平均的に背が高くてみんなモデルさんのように見えます。近くのオフィス勤めの方も多いのか、スタイリッシュに、意外と落ち着いたトーンでまとめたり、さり気なく高そうなものを一点だけ身につけていたりします。「たまには目の保養にJK へ行かなくちゃ!」が私の口癖ですが、残念ながらこの数ヶ月行けてません。

他にも、近所の教会で結婚式の光景を目にする時は、感心します。参列者もこの時とばかりにオシャレして、イブニングドレスを身にまとっています。しかも、ブラジレイラ達はそんなドレス姿がとてもよく似合っている!普段はスパッツぴちぴちファッションだけど、ボリュームある曲線ボディーは、こういう時に実力発揮するのだな、と納得です。高い腰の位置からたなびくドレスの裾が優雅です。

ブラジレイラのファッションセンスとは、この落差、メリハリなのかもしれません。やる時はやる!っていう感じです。

現在の私のオシャレは、マスクです。最近は、ブラジレイラの友達が作ってくれた和風テイストの一枚が大のお気に入りアイテムです。

*「世界ウーマン」掲載中

https://www.sekaiwoman.com/columns/bom-brasil/