更年期のデリケートゾーンケア~気をつけるべきこと~
更年期になるとデリケートゾーンも変化するため、変化に合わせた対応が必要になります。デリケートゾーンはどう変化し、どんなケアが必要になるのかなど、気をつけてほしいポイントについてご紹介します。
- 更年期で女性の身体がどう変わるか?
- 更年期の女性のデリケートゾーンの変化
- デリケートゾーンで気をつけるべきこと
- 更年期のデリケートゾーンケア
– 保湿ケアをして乾燥を防ぐ
– 洗浄して清潔に保つ
– 尿取りパッドやおりものシートをこまめに交換する
– 下着を見直して適したものを選ぶ
– デリケートゾーンを傷つけないようにする - まとめ
更年期で女性の身体がどう変わるか?
閉経前後の10年間を更年期といいますが、更年期にはエストロゲン(卵胞ホルモン)の分泌が急激に減少することから、心身にさまざまな変化があらわれます。
エストロゲンは卵巣から分泌されるホルモンで、子宮内膜を増殖させて妊娠に備えたり、血管や骨などの健康を維持したりする働きをもっています。コラーゲンの産生を促して肌に潤いを与える働きもあるため、エストロゲンの分泌が減ると体や肌に不調が現れやすくなってしまいます。
また、脳の視床下部が卵巣にエストロゲンを分泌するよう指令を出しているのですが、加齢によって卵巣機能が低下すると、指令通りにエストロゲンを分泌できなくなります。すると、脳はさらにエストロゲンの分泌を指令するようになり、ホルモンバランスの乱れを招いてしまいます。
更年期の女性のデリケートゾーンの変化
肌には外的刺激から肌を守るバリア機能が備わっているのですが、肌が乾燥するとバリア機能が低下して刺激に弱い状態になってしまいます。更年期になると、デリケートゾーンの潤いが減って乾燥しやすくなるため注意しましょう。人によって尿漏れが起こることもあるため、デリケートゾーンの汚れやにおいが気になることも増えてしまいます。また、おりものが減少することによって膣内の自浄作用が低下してしまうため、細菌の感染や炎症にも注意が必要です。
デリケートゾーンで気をつけるべきこと
更年期のデリケートゾーンは乾燥しやすいため、潤いを守りながら清潔に保つことが大切です。排尿回数が増えたり、体型が変化したりすることもあるため、それに対応したケアも必要になります。けれど、デリケートゾーンのケアを行っている方はあまり多くありません。入浴時に他の部分と一緒に洗うだけで、保湿ケアをしていない方も多いようです。更年期は乾燥やかゆみなどのトラブルが起こりやすいため、デリケートゾーンケアを習慣にするとよいでしょう。
更年期は忙しい方も多く、自分をケアする余裕がないことも多いかもしれません。けれど、自分の体の変化と向き合い、体をケアして労わってあげることは大切なことです。使いやすいアイテムや簡単にできる対処法を選んで、デリケートゾーンをケアしましょう。
更年期のデリケートゾーンケア
更年期のデリケートゾーンを健康に保つには、体の変化に合わせたケアが必要です。更年期の方におすすめの、デリケートゾーンケアについてみていきましょう。
●保湿ケアをして乾燥を防ぐ
保湿ケアをして、乾燥しやすい更年期のデリケートゾーンに潤いをプラスしましょう。皮膚が薄く刺激に弱いデリケートゾーンには、専用の保湿剤を使用するのがおすすめです。保湿剤を塗るときには、皮膚を摩擦しないようやさしく滑らせるように塗りましょう。忙しくケアが面倒に感じることもある更年期には、使いやすく管理の楽な保湿剤がおすすめです。心地よい香りのついているものだと、お手入れが楽しくなります。
●洗浄して清潔に保つ
デリケートゾーンが汚れていると雑菌が繁殖しやすくなるため、毎日洗浄して清潔に保ちましょう。デリケートゾーンは乾燥しやすいため、潤いを守りながら洗うことが大切です。通常のボディーソープだと洗浄力が強すぎるものもあるため、デリケートゾーン用のソープを選びましょう。洗う手間を少なくしたいという方には、デリケートゾーンだけでなく全身も洗えるソープがおすすめです。デリケートゾーンを洗うときには、傷つけないように指の腹を使って優しく洗いましょう。膣内を洗うと膣の自浄作用が低下してしまうため、膣内は洗わないようにしてください。
●尿取りパッドやおりものシートをこまめに交換する
尿漏れがある場合には、尿取りパッドやおりものシートを使用しましょう。下着が尿で汚れていると、デリケートゾーンに雑菌が繁殖してかゆみやかぶれが起こりやすくなります。尿取りパッドは吸水量やサイズ、消臭効果やつけ心地などを考慮して選ぶとよいでしょう。敏感肌用やスリムタイプ、パンツタイプなど、いろいろな種類のものが販売されています。尿取りパッドが汚れたときには、清潔を保つためにもこまめに交換してください。尿取りパッドの装着感が気になる方は、ショーツに吸水性と防水性を備えた吸水ショーツがおすすめです。尿取りパッドや吸水ショーツを使用することで、不意の尿漏れを気にせず快適に過ごすことができます。
●下着を見直して適したものを選ぶ
下着は着用と洗濯によって劣化していくため、定期的に買い替えましょう。劣化すると肌触りが悪くなるだけでなく、吸水性が低下してデリケートゾーンがむれやすくなってしまいます。下着の寿命は素材やデザインによって異なりますが、布地がゴワゴワする、毛玉ができている、ゴムが伸びているときには交換を検討するとよいでしょう。デリケートゾーンの負担を抑えて快適に着用するには、体型に合った下着を選ぶことも大切です。更年期になると体型が変化する方も多いため、時々体型をチェックして自分に合ったものを選びましょう。適した下着を選ぶことで、皮膚の摩擦や血流の滞りなどを防ぐことができます。
●デリケートゾーンを傷つけないようにする
デリケートゾーンの健康を維持するためにも、デリケートゾーンを傷つけないようにしましょう。かゆみがあるときにはデリケートゾーン専用のかゆみ止めや保湿剤を使用し、できるだけかかないようにしてください。更年期になると排尿回数が増えることもあるため、排尿後のケアが重要になります。排尿後はデリケートゾーンをティッシュでごしごし拭くのではなく、ティッシュをやさしく押し当てるようにしてふき取りましょう。ウォシュレットを頻回に使用するとデリケートゾーンを乾燥させてしまうため、使用を控えることをおすすめします。
まとめ
更年期になるとデリケートゾーンが乾燥しやすくなるため、保湿ケアをして潤いを守りましょう。
また、おりものが減少して膣の自浄作用が低下するため、清潔に保つことも大切です。尿漏れや体型の変化がある場合には、尿取りパッドの使用や下着の見直しが必要になることもあるでしょう。更年期の体の変化と向き合い、自分に合ったデリケートゾーンケアを習慣にしてください。
この記事の執筆者:インコさん
正看護師として美容皮膚科をメインに勤務。美容皮膚科では、10代~60代まで幅広い年代の女性の脱毛も担当。多くの女性と接することで、体を美しく整えること、美しく年を重ねることの大切さを学ぶ。
デリケートゾーンを美しく整えたいと希望する女性が多いことから、フェムケアの必要性をより認識。
その後、卵巣嚢腫の手術を経験し、不妊治療のために退社。体外受精を経て1児の母に。
現在は、そうした経験を生かして医療や美容関連のライティングを中心に活動。
医療系記事では、疾病の基礎知識や対処法、美容整形の施術紹介など専門性の高いものを執筆。美容関連では、脱毛やスキンケアを中心に更年期障害やアンチエイジングケアなどのテーマを得意とする。