女性ホルモンの種類と仕組み
女性の健康と美容には、女性ホルモンが欠かせません。妊娠の成立や継続にも関わっているため、子どもを望む女性にとっても重要なものとなっています。女性が知っておきたい、女性ホルモンの種類や働きについてご紹介します。
– 女性の健康と美容、妊娠をサポートする
– 月経周期をコントロールする
– エストロゲンの役割
– プロゲステロンの役割
– 生理不順になりやすくなる
– 月経前症候群(PMS)が起こりやすくなる
– 生理痛が起こりやすくなる
– 不正出血が起こりやすくなる
– 不妊になりやすくなる
– 自律神経失調症の症状が現れやすくなる
– 更年期障害の症状が現れやすくなる
– 肌トラブルが起こりやすくなる
女性ホルモンの働き
女性の健康と美容は、女性ホルモンによって大きく左右されます。女性ホルモンにはどのような働きがあるのかをみてみましょう。
●女性の健康と美容、妊娠をサポートする
女性ホルモンにはエストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)があり、女性の健康と美容をサポートしています。エストロゲンとプロゲステロンがバランスよく分泌されることで、女性らしい体にしたり、自律神経を整えたりすることができます。妊娠の成立や継続にも欠かせません。そのため女性ホルモンのバランスが崩れると、心身にさまざまな支障が生じてしまいます。
卵巣から分泌される女性ホルモンは、脳の視床下部の指令によって分泌されます。
●月経周期をコントロールする
月経周期をコントロールする働きもあります。月経周期は月経が始まった日から次の月経が始まる前日までのことをさし、通常25~38日だといわれています。
月経周期は、卵胞期(月経が終わってから排卵まで)、排卵期(排卵が起こる)、黄体期(排卵後から月経が始まるまで)の3つに分けられ、卵胞期にはエストロゲンの分泌が、黄体期にはプロゲステロンの分泌が多くなります。
女性ホルモンの種類と役割
女性ホルモンにはエストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)があり、それぞれ違う役割をもっています。
●エストロゲンの役割
- 生殖器官の発達を促す:
思春期になるとエストロゲンの分泌量が増え、初潮を迎えます。 - 女性らしい体をつくる:
乳房の発達を促すとともに、丸みのある女性らしい体型にします。 - 妊娠の準備をする:
子宮内膜を増殖します。 - 肌を美しくする:
肌の状態を整えて肌トラブルを防ぎます。また、コラーゲンの生成が促されるため肌の潤いやツヤがアップします。 - コレステロールの調整をする:
悪玉コレステロール(LDL)の生成を抑え、善玉コレステロール(HDL)を増やします。 - 骨密度の低下を予防する:
骨に必要なカルシウムを蓄えて骨の形成を促すとともに、カルシウムが骨から溶け出すのを抑えます。 - 自律神経が整うようサポートする:
自律神経の乱れによる支障を改善し、心身の状態を安定させます。
エストロゲンの分泌が増える卵胞期は心身の状態が安定しやすいため、女性にとって過ごしやすい時期といえるでしょう。また、エストロゲンは「美肌ホルモン」と呼ばれるくらい美肌効果が期待できるため、美しさを求める女性にとてもうれしい時期となっています。
●プロゲステロンの役割
- 着床しやすくする:
子宮内膜を柔らかくして、受精卵が着床しやすいようにします。 - 妊娠を維持しやすくする:
体を整えて妊娠を継続しやすい状態にします。基礎体温が上がります。 - 乳腺の発達を促す:
妊娠が成立すると、授乳に向け乳腺を発達させます。 - むくみやすくする:
水分や栄養をため込むようになるため、体がむくみやすくなります。乳房にも水分がたまりやすくなるため、胸の張りを感じたり、バストサイズがアップしたりすることがあります。 - 食欲を増加させる:
食欲のコントロールが難しくなり、食べ過ぎることが増えてしまいます。 - 気持ちを不安定にさせる:
イライラしたり憂鬱になったりすることが多くなります。
プロゲステロンが増える黄体期はイライラしたり憂鬱になったりと気持ちが不安定になるため、卵胞期に比べて過ごしにくい時期となっています。また、水分をため込んでむくみやすくなるだけでなく、食欲がコントロールしにくくなることから、黄体期になると体重が増える女性も多いようです。
女性ホルモンのバランスが崩れると・・・
女性ホルモンのバランスが崩れると、次のような症状に悩まされるおそれがあるため注意しましょう。
●生理不順になりやすくなる
女性ホルモンのバランスが崩れることで、月経周期が乱れやすくなります。通常の月経周期は25~38日間といわれていいますが、月経周期が24日以内になる頻発月経や、3カ月以上生理がこない無月経になるおそれがあります。経血量にも影響を与えるため、経血量が少ない過少月経や、経血量が多くレバーのような血のかたまりが混じる過多月経になるおそれもあるといわれています。
●月経前症候群(PMS)が起こりやすくなる
生理の3~10日ほど前から、下腹部痛や乳房痛、動悸やめまい、イライラや抑うつなど、月経前症候群と呼ばれる症状が現れるおそれがあります。
●生理痛が起こりやすくなる
女性ホルモンのバランスが崩れることで、生理痛がひどくなるおそれがあります。生理痛には個人差があり、下腹部が少し痛む程度のこともあれば、生活に支障が生じるくらい痛みが強いこともあります。また、頭痛や腰痛、吐き気や食欲不振、倦怠感など、下腹部痛以外の症状が現れることもあります。
●不正出血が起こりやすくなる
生理以外のときに性器から出血する、不正出血が起こるおそれがあります。
●不妊になりやすくなる
妊娠の成立と継続に必要な女性ホルモンのバランスが崩れることで、不妊になりやすくなるおそれがあります。
●自律神経失調症の症状が現れやすくなる
自律神経にも影響を与えるため、動悸や頭痛、倦怠感や手足の冷えなど、自律神経失調症の症状が現れやすくなるおそれがあります。
●更年期障害の症状が現れやすくなる
閉経前後にはエストロゲンの分泌が急激に減少するため、女性ホルモンのバランスが崩れやすくなります。そのため、ホットフラッシュや頭痛、不眠や抑うつなど、更年期障害と呼ばれる症状が現れるおそれがあります。
●肌トラブルが起こりやすくなる
皮脂の分泌が増えるため、毛穴が詰まってニキビができやすくなります。肌のターンオーバーも乱れやすくなるため、乾燥やくすみ、肌荒れなど肌トラブルが起こるおそれがあります。
まとめ
女性ホルモンにはエストロゲンとプロゲステロンがあり、女性らしい体をつくる、妊娠の成立と継続をサポートする、月経周期をコントールする、肌を美しくするなどさまざまな働きをもっています。そのため女性ホルモンのバランスが崩れると、生理不順や生理痛、不妊など心身に支障が生じやすくなってしまいます。
女性の健康と美容には、女性ホルモンが大切だと覚えておきましょう。
この記事の執筆者:インコさん
正看護師として美容皮膚科をメインに勤務。美容皮膚科では、10代~60代まで幅広い年代の女性の脱毛も担当。多くの女性と接することで、体を美しく整えること、美しく年を重ねることの大切さを学ぶ。
デリケートゾーンを美しく整えたいと希望する女性が多いことから、フェムケアの必要性をより認識。
その後、卵巣嚢腫の手術を経験し、不妊治療のために退社。体外受精を経て1児の母に。
現在は、そうした経験を生かして医療や美容関連のライティングを中心に活動。
医療系記事では、疾病の基礎知識や対処法、美容整形の施術紹介など専門性の高いものを執筆。美容関連では、脱毛やスキンケアを中心に更年期障害やアンチエイジングケアなどのテーマを得意とする。