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女性のカラダ講座

女性の一生は、女性ホルモンに大きく影響を受けています。毎日を快適に、そして女性としての人生を謳歌するために、ホルモンに振り回されることなく、味方につけたいものです。そのために、すべての女性に知って欲しい、女性ホルモンのことをまとめました。知っているのと知らないのとでは、毎日に、そして人生に大きな差が!

1. なぜ女性ホルモンケアが必要なの?

女性ホルモンは、女性の美容や心身の健康の土台となり、実はとても大きな役割を果たしています。ところが、女性の不調や悩みの多くはホルモンバランスの乱れが原因であるにもかかわらず、その働きを知らないがゆえに、仕方がないことだと我慢してしまったり、間違ったケアをする女性がまだまだ少なくありません。

これらは適切なケアによって改善でき、そのことは生活の質、ひいては人生の質を向上させることにつながります。だから、女性にとって、ホルモンバランスを整えることは、とてもとても大事なこと。そして、それは普段の生活の中でセルフケアができるのです。

女性ホルモンの分泌量は一生涯でたったの!スプーン1杯分といわれています。
そして分泌量は、普段のケアや生活習慣によっても左右されます。一度、分泌量が減ってしまうとケアに時間がかかるもの。早いうちからのケアが大切です。

2. 女性ホルモンの基礎知識

女性ホルモンは簡単にいうと、脳の視床下部からの指令によって、いくつかのプロセスを経て、卵巣から分泌されます。ストレスや生活習慣など何らかの要因で脳から指令がうまく機能しなくなると、女性ホルモンの分泌がうまくいかなくなります。
また年齢によって卵巣の機能が低下してくると、女性ホルモンを分泌することができなくなります。

女性ホルモンは主には「エストロゲン」と「プロゲステロン」があり、それぞれに異なる働きがあります。エストロゲンの本来の働きは妊娠を成立させることですが、「美人ホルモン」と呼ばれるなど、女性を美しくしてくれる効果もあります。

肌や髪をツヤやかにし、女性らしいバストやヒップラインをつくるのもエストロゲン。自律神経も安定させるので、精神的に穏やかで安定し、脳が活性化して頭の回転も速くしてくれます。

プロゲステロンは、妊娠の継続に不可欠なホルモンですが、美容や健康面では不調や精神的な不安定、肌あれやむくみ、脂肪を溜め込んだりと、あまり良い印象がないかもしれません。 生理周期によって優位なホルモンが替わるため、周期を知って体調を管理すると、無理や無駄な悩みやストレスが軽減し、快適に過ごすことにつながります。

生理周期とホルモン分泌の相関図

そして大事なのは、女性ホルモンはエストロゲンだけがあれば良いというわけではなく、バランスが大事だということ。エストロゲンだけでなく、プロゲステロンも補いながら、バランスよくケアすることが不可欠なのです。

3. 女性ホルモンのうれしい効果

女性ホルモンは、妊娠・出産以外にも女性に与える影響は大きく、以下の3つのような、女性にとってうれしい効果があります。

①美しさを守る!美容効果
②毎日の体調、一生涯の健康
③女性らしさと前向きなライフスタイル

① 美しさを守る!美容効果
お肌に、天然の美容液エストロゲン

エストロゲンには、コラーゲンやヒアルロン酸の生成を助け、肌の弾力と水分を保持する働きがあります。女性ホルモンが“天然の美容液”なんて呼ばれるのもそのためです。年齢とともに肌のたるみやしわ、乾燥に悩む女性が増えるのですが、女性ホルモンの減少がその一因。化粧品など外からの保湿やエイジングケアだけではなく、女性ホルモンケアも並行して行うことが必要です。

女性の美しい髪を守る!

女性ホルモンは、実は“髪”への影響も大!年齢とともに、髪にハリやツヤがなくなってきたり、白髪が増えたり、更年期以降、薄毛が気になる女性が増えるのも、そのため。女性ホルモンをケアすることは、美しく豊かな髪を維持することにつながります。

くびれた女性らしい“スタイル”を保つ!

エストロゲンは内臓脂肪がたまるのを防ぎ、代謝を助けるだけでなく、脳に作用して食欲の抑制もしてくれます。年齢とともに太りやすくなるのは、代謝の低下とともに、ホルモン分泌量の減少による影響も大きいのです。またハリのあるバストやヒップなど女性らしいスタイルにも、女性ホルモンが影響しています

② 毎日の体調、一生涯の健康

エストロゲンは脳細胞の機能維持や、体温中枢に働きかけて体温を調節したりする働きによって、自律神経を正常に機能させ、健康を維持することに役立っています。

一般的に女性は、生理周期によって体調や気分が変動するもので、まずそれを理解するだけでも、セルフコントロールがしやすくなります。
> 関連図:生理周期とホルモン分泌の相関図

ところがそこに、女性ホルモンの分泌がうまくいかず、バランスが乱れると、生理不順や生理痛、PMS(月経前症候群)などに悩まされることになります。逆にいうと、これらの症状が自覚される場合は、女性ホルモンのバランスに乱れがあるということ。放っておかずに、ケアすることが必要です。病気が隠れている場合もあるので、ひどい場合は医師の診断をおすすめします。

そして女性ホルモンの影響をもっとも感じるのが、40代後半~50代前半に訪れる更年期といえるでしょう。これは女性ホルモンバランスの急激な変動が原因。誰もが避けることはできませんが、適切なケアで、不調を最小限に抑えて乗り切りましょう。
> 関連記事:【更年期】40代後半~50代前半までに知っておくべきこと

また、実はエストロゲンは女性の健康の守護神ともいえる存在で、骨密度の維持やコレステロールを下げる働きなどで、様々な病気から女性を守ってくれているのです。更年期以降はその恩恵がなくなるため、それまで以上に健康対策を行うともに、女性ホルモンを補うケアを続けることが必要になってきます。
>関連記事:【ポスト更年期】50代後半以降に知っておくべきこと

③ 女性らしさと前向きな気分・生き方

女性ホルモンの増減が“気分”と密接していることは、よく知られています。エストロゲンは、神経伝達物質のセロトニンにかかわり、心と感情を調節する役割があるためです。精神の安定とともに、脳を活発化させ頭の回転も速くしてくれます。それらによって、前向きで活動的な気分が維持でき、人生そのものを前向きにしてくれるのです。

また、女性らしい自然な色気を引き出すのも女性ホルモンの働き。セクシャリティーな気分も同様。いくつになっても、女性としての人生を謳歌したいと思いませんか?そのためにも、女性ホルモンが重要な役割を果たすのです。

4. 年齢別のケア

女性ホルモンは一般的に、10~11歳の初潮時期から50歳前後の閉経期まで分泌されますが、その分泌量は30代後半を境に減っていき、ホルモンバランスが乱れはじめます。そのため、徐々に不調を感じはじめ、肌や髪の乾燥や衰えといった影響も出てきます。そして急激なバランスの乱れが50歳前後の更年期の不調につながります。
また女性の健康を守る働きをしてくれていた女性ホルモンの減少は、それまで顕在化していなかった健康問題にも大きな影響を与えるため、ポスト更年期のケアも大切です。
このように、一生涯の、年齢に応じた女性ホルモンのバランスケアが必要なのです。

① 30代前半までに知っておきたいこと
②【プレ更年期】30代後半~40代前半に知っておきたいこと
③【更年期】40代後半~50代前半に知っておきたいこと
④【ポスト更年期】50代後半以降に知っておきたいこと

① 30代前半までに知っておくべきこと

ストレス、不規則な生活、睡眠不足、食生活の乱れ、無理なダイエット・・・。
忙しくなった最近の女性に多く見られるこれら生活習慣は、ホルモンの分泌量を減少させ、バランスの乱れにつながり、生理前後の不調がひどくなるだけでなく、不妊につながってしまうこともあります。

また最近では、若くてもほてりや手足の冷え、イライラといった更年期に似た症状に悩む女性が少なくありません。「更年期なんてまだ先のこと」「若いから関係ない」と言ってはいられません。30代に入ると、まだ強くは感じなくても、体のさまざまな面で、加齢の影響が少しずつ出始めており、早くからプレ更年期に悩む女性も増えています。

また若い時のホルモンバランスの乱れは、更年期以降の身体にも影響を与えてしまいます。若いうちからきちんとケアしておくことは将来のためにもとても大事なことなのです。
特に若い時期の生理不順や無月経を放置するのは厳禁。長期間放置すると女性ホルモンが分泌されなくなってしまいますので、早めのケアが不可欠です。

②【プレ更年期】30代後半~40代前半までに知っておくべきこと

女性ホルモンの分泌が減少し、バランスが乱れ始める時期。カラダの中では変化が起こっているのですが、自覚症状は少なく、まだ深刻に受け止めるところまではいかないかもしれません。けれどこの時期をどのように過ごすかで、更年期が変わってきます。悪くなったものを治すより、良い状態を維持することの方がはるかに簡単なのです。早めにケアを取り入れることで、更年期を無理なく乗り切ることが可能になります。

また、肌や髪、体力や気力の衰えなどを最初に自覚する時期でもあります。ここにも女性ホルモンが影響しています。化粧品や食生活の見直しを考える人も多いこの時期、女性ホルモンケアも取り入れることで、生涯のエイジングケアにつながります。

③【更年期】40代後半~50代前半までに知っておくべきこと

更年期とは平均すると40代後半~50代半ばくらいの間の閉経前の女性に起きる変化のこと。生理周期が不規則になり、機能の低下が始まる期間、数年かけて生理が停止する期間、最終段階の3段階で完結しますが、その状態は個人によって様々。

疲れやすさや倦怠感、頭痛・肩こり・腰痛といった不調や、のぼせ・ほてり・急な発汗が起こるホットフラッシュ、不眠などに悩まされたり、すぐにカァっとなったり、気持ちがギスギスしたり、逆に落ち込んでしまったりすることも。これらがひどくなると、更年期障害といわれる症状になります。
さらにこの時期、見た目の老け込みに愕然したり、今までと同じようにできない自分に自己嫌悪を感じたり、パートナーとの関係がうまくいかなくなることを訴える女性も少なくありません。そのことで落ち込んで、さらに症状を悪化させていくことも。

更年期はすべての人に訪れます。人によって程度の差はあれど、この時期の女性ホルモンバランスの乱れは避けられないもの。けれど、まだまだ忙しく、やりたいことも多いこの時期。更年期だから仕方ないと我慢せず、適切なケアをすることによって、緩やかにソフトランディング(軟着陸)させることは可能です。その人自身の体質やそれまでどのような生活を送ってきていて、その時のバランス状態はどうだったかなどが大きく関係しており、個々での「セルフケア」が重要です。

この時期は人生の折り返し時期でもあり、人によっては、仕事の重責や子どもの巣立ち、親の介護などが重なるなど大変な時期でもありますが、辛いことを我慢せずに、自分のカラダと心の声をよく聴いて、自分を大事にして欲しいと思います。ときには周りに甘えることも必要。そして何よりも、更年期に対してネガティブなものとしてとらえずに、自分らしい毎日を過ごしてほしいと思います。

④【ポスト更年期】50代後半以降に知っておくべきこと

更年期が過ぎ去り、ホルモンバランスの乱れによる不調から解放され、生活の快適さが戻ってきます。生理からも解放され、かえって自由を感じる女性も少なくありません。

一方で、これまで守護神として女性の健康を守ってくれていた女性ホルモンの恩恵が受けられなくなるため、健康面では気を付けなければいけないことがたくさん出てきます。

女性の場合は、50代以降、コレステロールの増加、肥満、高血圧などのメタボリックシンドローム(メタボ)の割合が急増するのですが、それは女性の場合、生活習慣よりもエストロゲンの欠乏が引き金になっていることが多いのです。

エストロゲンの持つ、

  • 内臓脂肪がたまるのを防ぎ、肥満を防止
  •  
  • 善玉コレステロールを増やし、悪玉を減らす
  •  
  • インスリンの作用を助けて糖代謝を良くして糖尿病を防止
  •  
  • 血管を拡張して抗酸化作用をもたらし、動脈硬化を防止

といった作用がうけられなくなってしまうので、様々な疾病のリスクが高まるのです。

病気といえないまでも、骨粗鬆症、ドライアイ、歯周病、尿失禁、筋力の低下や関節痛、性交痛なども、女性の場合はエストロゲンの減少が原因となっている場合が多く、またうつや認知症との関係もいわれています。更年期が過ぎたら女性ホルモンのことを考えなくていい、というわけではありません。むしろ積極的にケアすることが必要です。それによって、エイジングのスピードを遅くし、健康を維持し、美容にも効果があるのです。

人生100年時代といわれ、更年期以降の人生はまだまだ続きます。健康寿命、幸福寿命を長くするためには、女性ホルモンケアが重要な役割を果たすのです。
ただし、進んだものを取り戻すのは難しい。できるだけ早めにケアを始めることが望ましいのです。

5. 女性ホルモンバランスケアの方法

今の自分のホルモンバランスが気になる人は、婦人科やウイメンズクリニックなどで、血液検査で簡単にチェックすることができます。費用も数千円から1万円程度。
検査内容などによって異なるので病院で確認してください。

ホルモンバランスを整えるのには、まず睡眠や食事、適度な運動、規則的な生活、ストレスの緩和、冷えの解消など、生活を整えることが大事。その上で、年齢や自分の状態に応じて、より積極的なケアを取り入れることをおすすめ。

女性ホルモンケアとしては、病院の治療として受けられるHRT(ホルモン補充療法)や漢方治療、プラセンタ注射などのほか、日常生活に取り入れやすいサプリメントやアロマテラピーなどがあります。
自分に合った方法、毎日の生活の中で続けやすい方法を選択し、継続することが大切です。

6. みんなの声・女性ホルモンに関する意識調査

準備中

7. 専門家からのアドバイス

メノポーズカウンセラー / 及川夕子氏
オーガニックアドバイザー、健康食品コーディネーターの資格も保有し、医療・健康・美容ライターとして、女性誌、健康・美容関連雑誌を中心に執筆も多数。

卵巣の機能が老化し、女性ホルモンが減少してくる更年期。
この時期には、ほてり、発汗、動悸、頭痛、不安感やイライラなど、女性の心身にさまざまな不調が現れてくるわけですが、これらは自律神経失調症の症状にとてもよく似ています。

それはなぜかというと、女性ホルモンは脳の指令によって、卵巣から分泌されるものだから。閉経が近づくにつれて女性ホルモンが減少してくると、脳は女性ホルモンを回復させようと、脳の視床下部から脳下垂体、そして卵巣という流れで「もっと出すように!」と指令を出します。しかし、卵巣には指令に答えるだけの力がもうないので、脳は混乱し、パニックを起こしてしまいます。その影響を受けるために、自律神経系、感情面、免疫系の働きなども一緒に乱れてしまうのです。

では、更年期の不調を軽くして、できるだけ快適に、元気に、過ごすためにはどんな方法があるのか。ポイントをお伝えします。

①カラダの変化を知る。更年期を知る。
現代女性は、閉経してからの人生がとても長くなりました。
一方、閉経年齢は昔からほとんど変わっていません。
閉経(50歳ぐらい)に向けて、女性ホルモンが激減し、やがて卵巣から分泌される女性ホルモンはゼロになる。 閉経後は、何もしなければ、女性は女性ホルモンの恩恵がないまま、30〜40年生きる。

こうした女性ならではのライフステージやカラダの変化を、まずはきちんと受け止めることが大事だと思います。 そして、閉経や更年期、ホルモンの変動のしくみなどについてきちんと知っていれば、更年期に突入してもうろたえることはないはず。勉強して、正しい知識を得ておくことはすごく大事です。

②我慢しない。治療も必要なら受ける。
「更年期でしんどい、つらい」のは、年齢だから仕方ないと我慢するのではなく、上手に、積極的にケアしていきましょう。更年期をいかに上手に過ごすかで、その後の人生、生活の質(QOL)が変わります。

更年期の女性は、ホルモン補充療法(HRT)を上手く取り入れるべきだと私は思っています。だって、ホルモンが減ってしまっているのですから、少しだけ補うことは理にかなっています。年齢を重ねても、経験と知恵をフル活用して仕事や生活を楽しんでいる女性は、HRTを積極的に使っています。そういう女性を、私はたくさん知っています。HRTを快適に使うコツですが、婦人科のなかでも、女性医療に理解のある婦人科医師に相談することをおすすめします。定期健診を忘れないことも大事。

HRTはちょっと……という人には、漢方やサプリなども使われます。どれが自分に合うか、試してみるのもいいのでは?

③自分が楽になれる日常ケアを見つけて取り入れる
日常のケアでは、運動(ストレッチやヨガ)、入浴、アロマなどを取り入れて、カラダや心が気持ちいいと感じる時間を持ちましょう。

アロマオイルは、ストレスケアにもってこいですね。
更年期に合わせてメンタル面の安定や心のリラックス、ストレス緩和などにうれしい精油が厳選され、ブレンドされたオイルも販売されています。

更年期には不眠に悩まされる人も多いので、枕カバーに1滴たらすのもおすすめ。最近、うつっぽいと悩んでいた40代の友人は、それだけで「ぐっすり眠れた、気持ちよく起きることができた、体調がいい」と喜んでいました。 また、その友人の受け売りになってしまいますが、もう一つ。 花粉症で鼻がつまっているときは、洗面器にお湯をはり、この精油を1滴たらして湯気を吸い込むとスッキリ。鼻づまりのストレスから開放され、とても楽になったそうです。 そのほか、イライラしているときには、ティッシュに精油をたらして、掃除機に吸い込ませ掃除をすると、お部屋がいい香りに包まれます。お掃除をしながら気分まで落ち着いてきて一石二鳥!
こんなふうに、アロマを生活に取り入れるといろんないいことが。 小さな不調は日常にたくさんあるものなので、手をあまりかけずに排除できるのがいちばんです。
ただ、こうした日常ケアは、メディアの情報に流されなくていいと思います。 人生経験豊富な更年期世代なら、心の声を聞くだけで自分がどうしたら元気になれるか、ハッピーになれるかわかるはず。日常ケアは、自分が〝楽〟になれるかどうかの基準で選んでOKです。
最後になりましたが、女性の更年期以降は、とにかく我慢は禁物。 昔はもっとできたのに……とさらに頑張ってしまうと、心とカラダ、両方を壊します。休むこともカラダメンテナンスと考えて、本当にやりたいことのためにエネルギーを温存することも大事です。

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